
SESを辞めたい。でも、この経歴で転職できるのかな……
その迷いに、SESからの転職で一度失敗した現役SESエンジニアの私が答えます。
私は新卒で入ったSES会社を勢いで辞めて、動画編集に転向して、2年後にSESに出戻りました。遠回りの分だけ、「動く前にやるべきだったこと」がはっきり見えています。
読み終わる頃には、「辞めたい」の先にある「どこへ向かうか」を考え始めているはずです。
【最初に結論】転職で動く前にやることは、この3つ

ひとことで言うと、「辞める理由だけで動くと失敗する。向かう先を決めてから動けば立て直せる」です。
3つとも、転職サイトに登録する前に、紙とペンだけでできます。
ちなみに私は、この3つを全部飛ばして転職しました。失敗例としての説得力には自信があります(笑)
この3つを飛ばして動くと、何が起きるのか。私の場合は、こうなりました。
私の転職失敗の全記録:SESを辞めて、SESに戻るまで

ひとつずつ、時系列で振り返ります。
「面白くない」だけで辞めた26歳

「なんか、面白くないんだよな」
当時の私の退職理由は、突き詰めるとこのひと言だけでした。
新卒で入ったSES会社に2年半。客先に常駐して、決められた業務をこなす毎日でした。プログラムをゴリゴリ書くわけでもなく、やりがいも感じられない。

このまま何年も続けるのかな。それは、ちょっと嫌だな……
そして26歳を過ぎた頃、勢いで退職届を出しました。
次に何をするかは、ぼんやりとしか考えていません。「動画編集が伸びている」という話を聞いて、深く考えずに飛びつきました。
いま振り返ると、このときの私は「やめる理由」しか持っていなかったんです。行き先を決めずに、とりあえず家を飛び出したようなものでした。
動画編集で気づいた、「稼げない」より苦しかったこと

動画編集の仕事は、クラウドワークスで受注しました。こなした案件は、半年で10件ほどです。
この数字だけで、察してもらえると思います。全然稼げませんでした。
でも、苦しかったのはお金だけではありません。それ以上にこたえたのが、クライアントの要望どおりに作る働き方でした。
修正依頼が来たら、自分では良いと思っていても直す。求められるのは、私のセンスではなく相手のイメージの再現です。
会社が嫌で飛び出したのに、たどり着いた先は「指示に合わせる仕事」でした。

自由を求めて辞めたのに、前より自由がない。笑うしかありませんでした(笑)
ここで気づいたんです。私が嫌だったのは仕事の中身より、「自分で決められないこと」だったのかもしれない、と。
ただ、その気づきを活かす整理をしないまま、次の手に出てしまいます。
自分のチャンネルという挑戦、そして撤退

「それなら、自分の思いどおりに作れる場所でやろう」
そう考えて、自分のYouTubeチャンネルを始めました。発想自体は、悪くなかったと思っています。
でも、続きませんでした。
収益化のラインは遠く、再生数は伸びず、収入はほぼゼロのまま。貯金が減っていく生活には、想像以上に心をすり減らされます。
明日の予定は自由でも、来月の家賃は自由になりません。
結局、動画の仕事は約2年で撤退しました。「好きにやりたい」だけでは、生活は設計できなかったんです。
29歳、第二新卒向けエージェントでSESに出戻り

収入への不安が限界に来て、私はITへ戻ることを決めました。
使ったのは、第二新卒や早期離職者を対象にした転職エージェントです。経歴に空白と遠回りがある私には、「やり直す人向け」の窓口が合っていました。
そして29歳、SES会社に再就職。年収は最初のSES時代と同じか、少し低いくらいです。
2年回り道をして、収入は増えていない。これが、私の転職失敗の結果です。
ただ、出戻ってわかったこともあります。毎月決まった給料が入るだけで、精神はここまで安定するのか、と。

給料日が毎月来る。それだけで、こんなに深く眠れるのかと思いました(笑)
お金の不安が消えると、次のことを考える余裕が生まれます。いまの私が資格や英語の勉強を続けられているのは、間違いなくこの安定のおかげです。
一方で、変わらなかったこともあります。いまの仕事が「心からやりたいこと」ではない、という事実です。
ここは出戻っても消えませんでした。だから私は、「どうしたらやりたい仕事に近づけるか」を考えながら、資格や英語をひとつずつ積んでいます。
失敗して戻った場所を、次の準備室にする。遠回りした人間には、そういう戦い方が残されています。
このあたりの遠回りの全体像は、ブログの自己紹介記事にも書いています。
あわせて読みたい:遠回りしてきたキャリアと、このブログで発信すること
「SESから転職できない」は本当か

検索すると必ず出てくるこの言葉に、経験者として答えておきます。
私の答えは、「転職はできる。ただし、準備なしだと私のように失敗する」です。
実際、経歴に2年の回り道がある私でも、ITに戻る転職はできました。「できない」は言い過ぎです。
とはいえ、SES出身者の転職に難しさがあるのも事実だと思います。私が体感した理由は、この3つでした。
- 経歴を説明しづらい:案件ごとに現場が変わるので、「何をやってきた人か」を一言で語りにくい
- スキルの軸が育ちにくい:配属先しだいで業務が変わり、専門性を積み上げた実感を持ちづらい
- 比較対象を知らない:会社の外の相場を知らないまま、「自分なんて」と自信だけが削られていく
3つ目は、とくに実感があります。辞める前の私は、求人票をまともに眺めたことすらありませんでした。
外の相場を知らないまま、常駐先と自社だけを世界の全部だと思い込む。狭い水槽の中で、「自分は大きいのか小さいのか」を悩んでいたようなものです。
ここで大事なのは、3つとも「向かう先が決まれば説明の仕方が変わる」ということです。
たとえば「マネジメントに進みたい」と決まれば、現場調整の経験は立派な材料になります。経歴がバラバラなのではなく、「いろいろな現場を見てきた」に変わるんです。
つまり「SESだから転職できない」のではありません。どこへ向かうかが白紙だと、SESの経歴は語りにくい。それだけの話だと私は思っています。
だからこそ、動く前の準備が効きます。
やること①「なんとなく嫌だ」を言語化する

最初にやるべきは、辞めたい理由をはっきり言葉にすることです。
「なんか違う」「なんか嫌だ」という感覚は本物です。でも、それだけで動くと私のように失敗します。
「面白くない」で辞めた私は、動画編集でも同じ壁にぶつかりました。嫌だったものの正体を確かめずに動いたので、転職先でも同じ不満を再生産したわけです。
言語化には、次の手順が使えます。
ポイントは手順3です。全部が嫌なのではなく、核になっている不満はたいてい1つか2つしかありません。
参考までに、当時の私の頭の中をこの手順にかけると、こうなります。
ここまで整理して初めて、「動画編集」が答えでなかったことがわかります。あの仕事は、決める側どころか合わせる側の最前線でした。
私の場合、核は「自分で決められないこと」だったわけです。だからいまは、プログラムを書く方向ではなく、自分で考えて決める側=マネジメント側に向かうと決めています。
いる場所はSESのままですが、ゆくゆくは自社サービスを持つ会社にステップアップして、そこでPMをやる。それが、いま私が向かっている先です。
最初の転職でこれができていれば、動画編集という選択はしなかったはずです。
ちなみに、SESの「嫌だ」には定番のパターンがあります。私が後悔した点は別記事に7つまとめているので、言語化の材料にしてみてください。
あわせて読みたい:ITエンジニアを目指すなら知っておけ。SES・客先常駐を選んで後悔した7つの理由
やること② 稼ぎ方・働き方のイメージを具体的にする

2つ目は、仕事の中身だけでなく「どう稼ぐか・どう働くか」を確認することです。
私が動画編集で詰まった原因は、動画が嫌いだったからではありません。稼ぎ方の設計を確認しなかったからです。
- 単価が低く、収入が安定しない
- クライアントに合わせる働き方が、自分に合わない
- YouTubeは収益化まで時間がかかり、収入の波が激しい
3つとも、始める前に調べればわかったことでした。「やりたいこと」に目を奪われて、「その仕事は、どういう仕組みでお金になるのか」を見ていなかったんです。
転職先を検討するときは、求人票でこの3点を確認するのが確実です。
| 確認すること | 見るポイント |
|---|---|
| 収入の型 | 固定給か、変動型か。賞与はあるか |
| 働き方 | 正社員・フリーランス・副業型。指示を受ける側か、決める側か |
| 現実の相場 | その職種・年代の求人票に並ぶ実際の年収 |
とくに「指示を受ける側か、決める側か」は見落としがちです。私のように働き方の自由度が核の不満だった人は、ここを確認しないと同じ失敗をくり返します。
やり方は単純で、気になる職種の求人票を10件、通勤時間にでも眺めてみることです。10件も見れば、年収の相場と働き方の型は肌感覚でつかめます。
私はこの30分の下調べをサボって、2年分の授業料を払いました。
夢のある仕事も、家賃の前では現実の仕事です。両方を見て選ぶのが、遠回りしない道だと思います。
やること③ 動く前に「自分の武器」を整理する

3つ目は、転職活動を始める前にスキル・資格・経験を棚卸しすることです。
転職市場で問われるのは、いつも「あなたに何ができますか?」です。26歳の私は、この問いに何も答えられないまま外へ飛び出しました。
値札のついていない商品は、店に並んでも選びようがありません。あのときの私が、まさにそれでした。
棚卸しする項目は3つです。
- スキル:使えるツール・担当した工程・現場で任された業務
- 資格:持っている資格と、向かう方向に効く次の資格
- 強み:技術以外で発揮できること(調整力・説明のわかりやすさ・現場適応の速さ)
SESエンジニアは、Web系エンジニアと違ってポートフォリオを作りにくい働き方です。だからこそ、資格と業務経験の言語化が武器の中心になります。
うれしい副産物もあります。書き出したメモは、そのまま職務経歴書の下書きになるんです。結局転職しなかったとしても、この作業は損になりません。
私自身は出戻り後に基本情報→応用情報と取り、いまは英語と会計の勉強を続けています。IT系の資格を上に積み増すより、この2つを掛け合わせた方が、自社サービス企業でPMを目指す自分の武器になると考えたからです。
何を勉強しているかは、そのまま「どこへ向かいたいか」の意思表示になります。

棚卸しをすると「意外と書けること、あるな」となります。自信は書き出した後についてくるんですよね
あわせて読みたい:【ITエンジニア体験談】基本情報技術者試験を独学1ヶ月で合格した勉強法
SESからの主な転職先と、選び方の目安

3つの準備ができたら、向かう先の選択肢を眺めてみます。
SES出身者の主な行き先は、だいたいこの5つに整理できます。
| 転職先 | 特徴 | 合いやすい人 |
|---|---|---|
| SIer | 上流工程・大規模案件に関わりやすい | 設計やマネジメントに進みたい人 |
| 社内SE | 自社の中で腰を据えて働ける | 常駐や現場異動をやめたい人 |
| 自社開発企業 | 技術力が問われ、開発に集中できる | 作ること自体が好きな人 |
| 条件のいいSES | 還元率や案件選択の自由度で選び直す | SESの働き方自体は嫌いじゃない人 |
| 異業種 | ITの外へ。可能性は広いがリスクも大きい | 稼ぎ方の設計まで詰め切れる人 |
※どこが良い・悪いではなく、やること①で言語化した「核の不満」が消える場所を選ぶのが軸です。
私のように「決められないのが嫌」ならマネジメントに近づける環境を、「常駐が嫌」なら社内SEを、という対応づけになります。
ひとつ補足すると、SESからSESへの転職も、逃げではありません。私は出戻りでSESに再就職して、収入の安定という土台を手に入れました。土台の上で次の準備をする。そういう順番もあります。
私の失敗から抽出した、転職でつまずく4パターン

ここで、私の失敗談を「やってはいけない形」に変換しておきます。
- 辞める理由だけで動く:向かう先が白紙のまま退職する。私はこれで2年回り道しました
- 勢いで無職期間を作る:収入が止まると、焦りで選択の質が落ちます。「早く決めなきゃ」で選んだ道は、たいてい選び直しになります
- 稼ぎ方を調べずに飛び込む:「伸びている」「好きそう」だけで選ぶと、生活が設計できません
- 武器ゼロで市場に出る:棚卸しをしないまま面接に行くと、「何ができる人か」を語れません
それぞれの防ぎ方は、すでにこの記事に書いたとおりです。
| パターン | 防ぎ方 |
|---|---|
| 辞める理由だけで動く | やること①で「向かう先」まで言語化する |
| 勢いで無職期間を作る | 退職届の前に、在職中の準備から始める |
| 稼ぎ方を調べない | やること②の3点を求人票で確認する |
| 武器ゼロで市場に出る | やること③の棚卸しを先に済ませる |
4つに共通するのは、どれも動く前の1〜2週間で防げたということです。
退職届を出すのは、この4つを潰してからでも遅くありません。むしろその方が、面接で語れる言葉が増えています。
よくある質問(FAQ)

SESからの転職でよく検索されている疑問に、体験ベースで答えます。
QSESから転職するなら何年目がいいですか?
A年数より「向かう先が決まっているか」が先だと思います。私は2年半で辞めましたが、行き先が白紙だったので失敗しました。逆に準備ができているなら、年数を待つ理由はありません。
Q「SESから転職できない」と聞いて不安です。本当ですか?
A回り道だらけの経歴の私でも転職できたので、「できない」は言い過ぎです。ただし経歴を説明しづらい働き方なのは事実なので、言語化と棚卸しの準備で差がつきます。
Qスキルに自信がなくても転職できますか?
A棚卸しをする前の「自信がない」は、たいてい未整理なだけです。私も書き出してみたら、現場調整や資格など語れる材料が残っていました。判断は書き出した後で大丈夫です。
Q転職理由はどう伝えればいいですか?
A不満をそのまま言わず、「向かいたい方向」に変換して伝えるのが定石です。「決められないのが嫌」なら「裁量を持って進めたい」になります。言語化ができていれば、この変換は難しくありません。
QSESからSESへの転職はありですか?
Aありです。私は出戻りでSESに再就職して、収入と精神の安定を取り戻しました。条件や案件の質で選び直すのは、立派な戦略だと思います。
Q異業種への転職はやめた方がいいですか?
Aやめた方がいい、とは言いません。ただ私は動画編集への転身で、稼ぎ方の設計を怠って失敗しました。異業種ほどやること②の確認が生命線になります。
Q在職中と退職後、どちらで転職活動すべきですか?
A私は勢いで辞めてから動いて、収入が減っていく焦りに判断を狂わされました。生活の土台を残したまま準備できる分、在職中の方が安全だと思います。
Q転職エージェントは使った方がいいですか?
A私は出戻りのとき、第二新卒・早期離職者向けのエージェントを使いました。経歴に空白や遠回りがある人は、自分の状況を対象にした窓口を選ぶと話が早いです。
Q資格は転職に有利ですか?
A資格だけで決まるとは思いませんが、方向性の意思表示として効きます。私は応用情報まで取り、いまは英語と会計を勉強中です。選んだ勉強の中身が、「マネジメント方向に進みたい」という説明の裏づけになっています。
転職で動いていい人・まだ動かない方がいい人

ここまでの内容を、判断の形にまとめます。
下の3つに当てはまった人も、落ち込む必要はありません。全部かつての私です。
しかも、3つとも今夜から潰せます。紙とペンで始められる準備です。
嫌なことを1行書き出したら、その時点で準備の初日は終わりです。
まとめ:「辞めたい」より先に「どこへ向かうか」を決める

最後に、この記事の要点をまとめます。
- 私は「面白くない」だけでSESを辞めて、動画編集で2年回り道し、SESに出戻った
- 「SESから転職できない」は言い過ぎ。ただし向かう先が白紙だと、経歴を語れずに苦戦する
- 動く前にやることは3つ:「嫌だ」の言語化/稼ぎ方・働き方の確認/武器の棚卸し
- 3つとも紙とペンでできる。退職届より先にやる
- SESからSESへの転職や出戻りも、土台を作る立派な選択肢
失敗した本人として言えるのは、「逃げる転職」ではなく「向かう転職」をしてほしい、これに尽きます。
「面白くない」としか言えなかった26歳の私と、向かう先を語れるいまの私。その差を作ったのは、才能ではなく書き出したメモの枚数でした。
私はいま、出戻ったSESで働きながら、次の一歩の準備を続ける毎日です。目指しているのは、自社サービスを持つ会社に移って、PMとして働くこと。やりたいことに一気には飛べなくても、ひとつずつ丁寧に積んでいけば、進む方向は変えられると思っています。
最後にひとつだけ。
「辞めたい」という気持ちは、向かう先が決まった日に、初めて武器になります。
同じようにSESからの転職で悩んでいる人の参考になれば嬉しいです。


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