花見でピザ40枚売ろうとした話【10枚しか売れなかった件】

花見会場の桜の写真 キャリア

「失敗したらどうしよう」と思うと、なかなか一歩が踏み出せない。私もずっとそのタイプだった。

でも実際に動いてみると、失敗の中身はだいたい「想像よりずっとしょうもない」ことが多い。致命的でもなく、取り返しもつく。そして何より、やってみないと絶対にわからないことがたくさんある。

この記事では、私が花見会場でピザを売ろうとして盛大に空振りした話を書く。結論から言うと、40枚持っていって10枚しか売れなかった。それでも「やってよかった」と思っている。なぜそう思えるのか、正直に話したい。

花見会場にピザ40枚とビール70本を持ち込んだ

その日は3月の週末。満開の桜が咲き乱れる公園に、私たちはピザ40枚とビール70本を積んだクーラーボックスを引きずりながら歩いていた。

一緒にやっていた友人と2人で運んだのだが、会場まで15分。ゆるい坂が続く道を、汗をかきながらゴロゴロと引っ張った。「これだけ持ってきたんだから売れるよな」と根拠のない自信を胸に、花見スポットの一角に陣取った。

天気は快晴。桜も満開。花見客でごった返している。ポジションは最高だ、と思っていた。

天気最高・気分最高・完全に読み間違えた

青空の下、人がわんさかいる。ビールもピザも需要があるに決まっている。そう信じて疑わなかった。

売り方はシンプルで、「ピザいかがですか〜」と声をかけながら歩き回る作戦。レジャーシートで寛ぐ人たちに声をかけると、みんな興味は持ってくれている。「悪くないスタートだ」と感じていた。

売り始めて気づいた「みんなもうピザ持ってる」

ところが、声をかけても誰も買わない。なぜかと思って周りを見渡すと、すでに各グループが食料を持参していた。コンビニのからあげ、市販のお弁当、そして……すでにドミノピザの箱を開いている人たちもいる。

そう、花見客は完全装備で来ていた。私が持ち込んだタイミングで、みんなすでに食べていたのだ。

40枚持っていって10枚しか売れなかった

時間が経つにつれて、現実が見えてきた。

1枚、2枚と売れるものの、在庫の山はほぼ変わらない。ピザ40枚というのは、箱にすると結構な量だ。

「これ全部どうするんだろう」という気持ちが頭をよぎり始めた。

花見客はすでに完全装備だった

後から考えれば当たり前の話だ。花見に来る人は計画を立てて来る。事前にスーパーで買い出しをして、コンビニで軽食を仕入れて、テキパキと準備してから来る。「現地でピザを買う」という選択肢は、そもそも多くの人の頭にない。

途中から諦めて自分も花見してた笑

2時間ほどたった頃、ふと思った。「もう無理だ」と。

残り30枚以上のピザを眺めながら、友人と顔を見合わせた。「……これ、花見しようか」という結論になり、その後は自分たちでレジャーシートを広げて、売れ残りのピザをほおばりながら桜を眺めた。

これはこれで、悪くなかった。むしろ楽しかった。

看板もないのにおばあさんがビールを買いに来た

諦めて花見を楽しんでいたら、突然不思議なことが起きた。

とあるおばあさんが、私たちのクーラーボックスにまっすぐ歩いてきて、「ビール1本くれる?」と言ったのだ。

看板も出していない。呼び込みもしていない。「売ってます」という意思表示すら、その時はしていなかった。

私たちがただそこにいて、大きなクーラーボックスを置いていただけ。それがおばあさんの目には「ビールを売っている人たち」に見えたらしい。もしかしたら自分たちが売っていた様子を見ていたのかも知れない。

一緒に売ってた友人と「なんで?」って顔を見合わせた

友人と2人で「え、なんで今?」という顔を見合わせた。

リサーチもしていない。呼び込みもしていない。アピールもしていない。それでも売れた。こういう偶然が起きることは、実際にやってみないと発見できない。机の上で考えているだけでは、絶対に気づけなかった体験だった。

失敗して気づいたこと

40枚持っていって10枚しか売れなかった。数字だけ見れば大失敗だ。

でも「やらなければよかった」とは、一切思わなかった。

「需要があるか」より「そのタイミングで買いたいか」

この経験があってから、事前のリサーチが大事と考えるようになった。需要があるかどうかだけでなく、タイミング・状況・そもそも買う気があるかどうか。それを事前に確認しておくだけで、結果はかなり変わる。

今回は花見客をターゲットにピザを売るわけだから、前日にどんな人がいるのか、何を持ってきているのかなどを見ておくべきだった。

でもこれ、やってみてわかったことだ。「リサーチが大事」という言葉は知識として知っていた。でも、失敗のリアルな手触りがあってはじめて、学びが体に刻まれる。

それでも動いた自分はちょっと好き

「40枚売ろう」と決めて、重い荷物を運んで、声をかけまくった。そういう行動を取れた自分は、正直ちょっと充実感があった。

うまくいかなかったけど、致命傷じゃなかった。恥ずかしかったけど、誰かに迷惑をかけたわけじゃない。ピザは全部食べきった。

一歩踏み出すのが怖いとき、私はこの話を思い出す。「やってみたら案外なんとかなるし、なんとかならなくてもピザは食べられる」と。

失敗の多くは、想像よりずっとしょうもなくて、想像よりずっと笑える。次に何か動こうかどうか迷っているなら、まずやってみてほしい。ピザの在庫を抱えた私が言うんだから、たぶん大丈夫。

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