
通訳案内士の勉強に1〜2年かけて、それで仕事はあるの?
でも、資格なしでお客さんを案内するのも怖い……
資格を取ってから始めるか、資格なしで今始めるか。
「通訳案内士 意味ない」で検索した人の迷いは、ここだと思います。
この記事は、資格を取った側の話ではありません。
無資格でViatorに登録して、実際に外国人観光客を案内した側の話です。
資格を聞かれたことはあったか。
予約は来たか。
いくらに設定したか。
体験したことだけを書きました。
無資格でViatorに登録して案内してみた。資格を聞かれたことは一度もない

最初のお客さんは、ドイツ人の男性ひとりでした。
雷門から歩き始めて、仲見世通りを抜けて、浅草寺の本堂まで。
2時間で6,000円くらいの設定にしていました。
案内のあいだ、資格の話は一度も出ませんでした。
「ガイドの資格はあるの?」と聞かれることもなく、案内が始まって、2時間後に終わりました。

資格の話、最後まで出ませんでした。
お客さんが見ていたのは、別のところです。
この門は何なのか。
この通りには何があるのか。
そして、この人と一緒に歩いて楽しいか。
見られていたのは、案内の中身と、一緒に楽しめる相手かどうかでした。
お客さんが求めているのは、資格を持っている人ではありません。
自分より少し詳しくて、ちゃんと案内してくれる人です。
無資格でお客さんの前に立ったとき、何が起きるか。
資格については、何も起きませんでした。
なぜ「通訳案内士は意味ない」と言われるのか

「意味ない」「いらない」と言われる理由は、3つに整理できます。
制度の話、数字の話、そして現場の話です。
①2018年の法改正で、資格がなくても有償でガイドできるようになった
それまでは、報酬を受け取って外国人を案内するには、通訳案内士の資格が必要でした。
2018年1月4日に施行された通訳案内士法の改正で、この決まりがなくなりました。
資格がないとできない仕事から、資格がなくてもできる仕事に変わった。
これが改正の中身です。
残ったのは、名前のルールだけです。
資格がない人は、「全国通訳案内士」やそれに似た名前を名乗れません。
名乗ると、30万円以下の罰金の対象になります。
資格がなくても、案内すること自体はできます。
私もそうでした。
②資格を持っていても、半数以上が資格を使って働いていない
| 観光庁のアンケート(2024年3月公表) | 全国通訳案内士 |
|---|---|
| 資格を使って働いていない(未就業) | 55.4% |
| 資格を取ってから、一度も働いた経験がない | 43.2% |
| 2023年の見込み年収が400万円以上 | 6.0% |
観光庁が全国通訳案内士に行ったアンケートの数字です。
資格を持っている人の半数以上が、その資格で働いていません。
資格を取ったあと一度も案内をしていない人も、4割を超えます。
働いていない理由も、同じ調査にあります。
いちばん多いのは「今の仕事を辞めるつもりがない」で44.1%。
次が、仕事の取り方がわからないという理由で、35.6%です。
資格を取ったのに仕事がない。
上位に出てくる記事がそう書くのは、この数字と重なります。

取っても使っていない人が、半分以上なんですね。
③現場では、お客さんは資格を見ていない
私の体験は、この記事の最初に書いたとおりです。
資格の有無を気にされたことは、一度もありませんでした。
3つを並べると、「意味ない」の中身がはっきりします。
資格がなくても始められる。
資格があっても、仕事があるとは限らない。
現場では、聞かれない。
つまり「意味ない」は、資格がないと働けない時代が終わった、という意味です。
資格の勉強が無駄という意味ではありません。
それでも資格が必要な場面

資格を全否定はしません。
資格を持つガイドの人たちが挙げる「必要な場面」は、だいたい4つに集まります。
| 場面 | 何が違うか |
|---|---|
| 旅行会社経由の仕事 | 募集条件に資格が入っていることがある。上のアンケートでは、全国通訳案内士の依頼元は「旅行会社からの依頼・紹介」が68.4%でいちばん多い |
| 団体ツアー | 旅行会社が組む団体の案内は、資格ありのガイドに回りやすいと言われる |
| 「全国通訳案内士」の名称 | 国家資格の名前は、資格がないと名乗れない。肩書きで信頼を作れる |
| 施設の優遇 | 有資格者は入場料が免除や割引になる施設がある、と言われる |
4つとも、旅行会社や施設の側から見た話です。
Viatorに登録して、個人で申し込みを受ける。
この形では、資格を求められる場面がそもそもありません。
それでも、ひとつだけ思うことがあります。
資格があれば、もっと自信を持って案内できたかもしれない。
そうも感じています。

なくてもできる。
でも、あれば心強かったと思います。
自信の話は、お客さんには見えません。
自分の中の話です。
だから、資格を取る理由が「自信がほしいから」でも、私はおかしいと思いません。
ただ、その自信が予約を増やすかどうかは、別の話です。
資格なしで始める入口:Viator登録から最初のツアーまで

求められたのは、本人確認書類とツアーの説明文
結果はわりとすぐ出て、指摘された箇所を直して出し直したら、すぐページが載った
コースと料金は、この記事の最初に書いたとおり
保険は、特に求められませんでした。
ツアーの説明文は、自分で書きます。
どこを回るか、何時間か、何が見られるか。
値段も自分で決めます。
ここまでが、入口です。
求められたのは本人確認書類と説明文で、資格の証明はありません。
2時間のコースには、時間の余裕がありました。
雷門で何を話すか。
仲見世通りで何を話すか。
本堂で何を話すか。
説明する場所ごとに、多めの台本を作っておけばよかった。
用意した分しか話せないので、用意が多いほど、話せることが増えます。

台本は、多めに作っておけばよかったです。
始めるのに必要な英語力の目安

「通訳案内士になるにはTOEICで何点必要か」と調べた人もいると思います。
通訳案内士試験に必要な英語力と、Viatorで案内を始める英語力は、別のものです。
ここで書くのは後者です。
無資格でViatorから始めるなら、TOEICの点数は誰にも聞かれません。
ガイドを始めるには何点あれば、という基準はないです。
私は、決まった言いまわしが英語で言えたらいいのではないかと思います。
挨拶、集合と移動の案内、雷門や仲見世通りの説明。
毎回同じ場面で使うセリフが英語で言えれば、始められます。
当時の私は、英会話スクールに通う前で、頭の中はまだ日本語でした。
用意した英語は通じて、用意していないことを足そうとした瞬間だけ、言葉が出なくなりました。
TOEIC600〜800くらいの英語なら、決まった言いまわしを用意する作業は、英語力の問題ではありません。
準備の問題です。
このあたりは、別の記事に詳しく書いています。
あわせて読みたい:
ツアーガイドの英語力はどれくらい必要?決まった言いまわしで半年できた話
まとめ:取るか取らないかは、先に1回やってから決めればいい

資格を取る側にかかるものを並べます。
| 項目 | 内容(2026年度) |
|---|---|
| 受験手数料 | 14,850円(1言語) |
| 試験の流れ | 年1回。願書受付6月1日〜7月9日、筆記試験8月16日、口述試験11月29日、最終合格発表2027年1月22日(予定) |
| 合格後 | 住んでいる都道府県に登録申請。登録手数料は都道府県ごと |
| 勉強時間 | 一般に1〜2年と言われる |
※受験手数料と日程はJNTOの2026年度試験ページの記載(2026年9月12日確認)。
手数料は改定されることがあります。
受験料そのものは、高くありません。
重いのは、勉強にかける期間と、願書から合格発表までの8ヶ月です。
一方で、無資格で始めた側の現実も書いておきます。
予約は、思ったほど来ませんでした。
ページが載っても、見つけてもらえなければ予約は入りません。
壁は資格ではなく、集客でした。

資格より先に、予約が来るかどうかでした。
これは、無資格だからではありません。
資格を持っていて働いていない人も、35.6%が仕事の取り方がわからないと答えていました。
資格のあるなしにかかわらず、壁の場所は同じです。
だから、順番はこうです。
先に1回やってみる。
そのうえで、取るかどうかを決める。
判断の材料は、資格が必要な4つの場面です。
あなたにはこれらの内容が必要でしょうか?
必要なら、資格を取る価値があります。
まだわからないなら、1回案内してみてから決めても遅くありません。
最後にひとつだけ。
資格を取るかどうかは、勉強を始める前に決めなくていい。
1回案内してみた、その帰り道に決めればいいです。
同じように、通訳案内士の資格を取るか迷っている人の参考になれば嬉しいです。


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